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再生可能エネルギーの普及を図る固定価格制度とは?

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2011年の東日本大震災で引き起こされた原子力発電所の事故をきっかけに、日本のエネルギー政策は再検討を余儀なくされました。それを受けて、日本列島で豊富に活用できる再生可能エネルギーを大いに活用するよう議論が高まり、その活用の具体的な方法として再生可能エネルギー固定買取価格が検討されました。そして2012年、具体的に制度化された「固定買取価格制度」がスタートしました。

 

それでは、再生可能エネルギーの固定買取価格制度とは一体、どのような制度なのでしょうか。今回の記事では、制度が定められるに至った背景と、その具体的な中身を見て行きたいと思います。

 

 

 固定価格買取制度がスタートした背景

現在、日本の電力はその大部分を石油や石炭といった化石燃料に頼りきっています。それら化石燃料は海外から輸入するわけですが、日本でまかなわれるエネルギー全体から見ると、その割合はなんと96%にもなります。残り4%はエネルギーを自給しているわけですが、今後世界的にエネルギーの需要が増えている状況の中、海外からの化石燃料に頼ることは様々な面で心配が残ります。

 

そこで、これからは太陽光や風力といった再生可能エネルギーも大いに活用していこうという機運が高まりました。日本列島は地理的にも太陽光や水に恵まれ、風や森林など潤沢な再生可能エネルギーの資源が存在します。そのため、再生可能エネルギーを活用するには日本は好都合な場所であると言えます。

 

ところが、現状の再生可能エネルギーの活用状況は、水力を除けば2012年時点でたったの1~2%程度しかありません。

 

再生可能エネルギーがこれほどまで叫ばれてきたにもかかわらず、なぜ普及が進まなかったのでしょうか。その大きな理由は、コストが割高だからです。再生可能エネルギーを活用するにはそのための設備投資や運用費等が必要となりますが、他のエネルギーと比較して利益の割には費用が高くなりがちです。

 

それでも、将来のエネルギー事情を考えれば再生可能エネルギーを活用することが望ましいため、再生可能エネルギー普及に向けて国民全員で協力し合って推進していこうという方針が決まりました。

 

その具体的な形として定められたものが、「再生可能エネルギーの固定買取価格制度」と呼ばれる制度です。

 

 

 固定価格買取制度とはどのような制度?

上記の背景から、2012年より始まったものが「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」、通称FIT(Feed-in Tariff)とも呼ばれる制度です。

 

この制度は、再生可能エネルギー発電事業者や家庭の太陽光発電等によって生み出されたエネルギーを、地域電力会社が一定価格で買い取るように定めた制度です。

 

電力会社が再生可能エネルギーを別途購入するわけですので、電力会社にとってはコストになります。そこで電力会社は電気利用者の方々から、従来の電気料金とは別に「賦課金」という名目の料金を回収することになります。お手持ちの電気料金の伝票をよく見てみてください。「賦課金」という文字が書かれているはずですよ。

 

このように、みんなでお金を出し合って、社会全体で再生可能エネルギーを導入しやすくし、将来的に再生可能エネルギーを普及させる弾みにしようと意図されたわけです。

 

固定価格買取制度の対象となるエネルギーは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5つです。これらによって生み出されたエネルギーは全量が買取対象となります。ただし、国の要件を満たした設備に限ります。なお、住宅向けの太陽光発電(10kW未満)の場合は、ご自宅で活用したエネルギーの余剰分が買い取りの対象になります。

 

買い取られた再生可能エネルギーは、原則として他の火力発電所等のエネルギーよりも優先的に活用されるようになっています。

 

再生可能エネルギーを実際に売電するためには、再生可能エネルギーの発電設備について国へ設備認定の申請を行い、その上で電気事業者と契約を結ぶことになります。

 

 

 固定価格買取制度による買取価格と買取期間

再生可能エネルギーの買取価格と期間は、エネルギーのタイプや設備規模等によって異なります。

 

例えば太陽光を対象とする場合、平成28年度では以下のように定められています。

1kWh当たりの調達価格と調達期間です。昨年度に比べてそれぞれ2円安くなっています。

 

●10kWh以上

 

価格 24円+税
期間 20年間

 

●10kWh未満(余剰買取)

 

出力制御対応機器設置義務 なし あり
価格 31円 33円
調達期間 10年間 10年間

 

●10kWh未満(ダブル発電・余剰買取)

 

出力制御対応機器設置義務 なし あり
価格 25円 27円
調達期間 10年間 10年間

出典:経済産業省 資源エネルギー庁 なっとく再生可能エネルギーhttp://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/kakaku.html

 

なお、一度適用された価格は、期間中最後まで変わりません。ただし、経済環境や技術の進展は日々変化しており、そのような状況の変化に応じて価格も改定されます。そして価格の改定は毎年行われます。改定された価格が適用されるのは、既存発電事業者ではなく、その年に新規参入した事業者に対してです。

 

定められた買取期間が終了した場合は、発電事業者と電気事業者の間で別途買取条件を定めて頂くことになります。

 

 

 まとめ

以上で見たように、固定価格買取制度は、現在は高コストである再生可能エネルギーの活用を、日本全体で積極的に推進するために定められたものです。

 

実際に売電するには設備を導入する上で様々な手続きが必要であり、またすべての電力使用者は賦課金の負担も求められます。再生可能エネルギー活用にはまだ敷居が高いと思われるかもしれませんが、それでも、将来の日本のエネルギー事情をより改善するために意図された制度であることはご理解頂けたと思います。

 

今年2016年4月からは、一般家庭でも電力会社を自由に選べるようになりました。それぞれの電力会社が、どんなエネルギーをもとに電気を作り販売しているのか、そこにも興味を持って調べてみるとよいのではないでしょうか。

 

 

※資源エネルギー庁『再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック』2016年度版参照
http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data/kaitori/2016_fit.pdf

2016/04/07

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