再生可能エネルギーをどのように買い取るか、という方法について、入札方式が検討されています。価格を固定したり状況に応じて都度変化させるのではなく、入札によって有利な条件で買取をしてはどうか、ということが検討されているのです。
この方法は事業者が決めた額の札を入れることによって、買い取る価格の最低額を決定する方法です。買い取る側にとって、そして電気料金を負担する国民にとっても有利な条件になる方法であり、消費者側にとっては嬉しい方法でもあります。
そして、この方法は事業者にとってもメリットがあります。それは価格を他人に決めてもらうのではなく、自分たちで決めることが出来るということです。
それは、いくらで買い取ることができるか?が予想できるので、企業の予算編成に基づいた価格を決めることが出来るのです。
そして価格競争が起きることによって、消費者側にとってはコストパフォーマンスがよくなることが期待できます。状況によっては電気料金の値下げが可能になるかもしれないので、電気料金を払う立場の私たちにとっては朗報とも言えるのです。
一方、企業にとっては価格を決めることが出来るメリットの裏で、落札に至らない可能性が生じます。札入れした価格よりも他社が低い価格であれば、もちろん落札することはできません。そういうデメリットもあるのです。
現在、ドイツをはじめとしたヨーロッパで見られるのは、太陽光を対象にした入札制度です。ただし、この地域で導入されているのは市場で取引される価格にプレミアム価格を上乗せした額で行われています。この方法はFIP(Feed In Premium)と呼ばれているのです。
ドイツやイタリアなどで導入されているのは、市場で取引される卸価格の変動に応じて、プレミアムが変動するシステムです。これは価格の変動による影響をできるだけ抑えることを目的としています。
現在、日本でも導入が検討されているのは、ドイツがやっているシステムだと言われます。固定買取価格から変動方式へと移行し、その先にあるのがこのFIPと思われます。
入札方式は公共事業などですでに行われているものであり、国や自治体、企業にとってはお馴染みの方法です。それをエネルギー買取に使うだけなので、これを導入すること自体には抵抗がないと思われます。
ただし、どの価格が適正なのか、いくらにすれば納得して買ってもらえるのか、という線引きを知りたがる人や会社が増えるように思います。日本人の特性として、右倣えの意識が強い人が多いので、周りに合わせようという心が働くように思うのです。
こういう意識が働くと、公共事業でも時々見られる「談合」というものが起こる可能性があります。余計な競争をしたくないのが、心の奥底にあるからです。
ただ、電気料金は企業側にとっても負担が大きいものですから、負担軽減という視点に立てば、すんなりと導入するところも多くなるように思います。適正な競争という以前に、自分たちの経営状況に直結するからです。
再生エネルギーの活用で先頭を走っているヨーロッパでは入札で決めるやり方が一般的になりつつあります。
そのような前例がすでにあるのですから、それらを活用しない手はないですよね。最初は真似でもいいと思います。まずやってみてその上で消費者となる国民・市民の声を聴いたり反応を見ればいいのです。それからやり直しても遅くはないのです。
今の固定価格買取制度からの移行は大変なこともあるかもしれません。
ただ、国民の負担が減ることを考えれば有意義な方法でもあります。企業側に買取価格を決めてもらって、納得した形で価格決定し、少しでも安く調達できるようにする方法としては、かなり有効だと思います。
2015/11/24