近年、私たちの生活は色々な環境問題に直面させられるようなことばかりです。
東日本大震災後から日本中で改めて見直すようになった原子力発電問題を始め、温暖化が招いたエルニーニョ現象、絶滅生物危機、異常気象、新型ウィルスへの突然変異、さらには対岸の火事ではないPM2.5問題など本当に数えだすとキリがないほどたくさんの環境問題が私たちを取り巻いています。
一つひとつを取り上げても、なかなかそれらを私たちの文明が招いたものだと気付きにくいですが、しっかりと考えていくとどの原因も私たちが作ってきたこの現代社会の歪みのように感じます。
今回はそんな環境問題についてさまざまな角度で考えられる環境映画をご紹介しましょう。
シルバーウィークは、お子さんと一緒にこんな映画を見て感想を語り合うのも良いのではないでしょうか。
お子さんでも楽しめそうな作品もピックアップしてみました。
出典 http://matome.naver.jp/odai/2141104131987596201/2141104706793863003
日本人であれば誰もが一度は見たことがあるだろう映画が「風の谷のナウシカ」です。
環境問題を訴えかけた映画の代表作とも言われるほど、映画に込められた意味も深く、大人であっても考えさせられる映画です。
文明を崩壊させた最終戦争から1000年後という世界に残ったのは汚染された大地と異形の蟲、そして人間。大地は日に日に毒素に侵され腐海に飲まれていき、人々はどんどん住む土地を追いやられていきます。
しかし腐海の奥地は実は大気が清浄で、腐海は汚染された世界を浄化する目的で存在するということに気付いた主人公のナウシカ。
自然界は敵だとどんどん文明発達を押し進めていく人間と、人類は軽度に汚染した世界でしか生きていけないという事実を知ったナウシカが浄化の終わった理想郷の世界を求めていく映画です。
1984年に作られた映画だとは思えないほどリアルな描写は、今私たちが直面している世界のようです。
出典 http://dannichi-movie.com/archives/130
2000年に公開された映画「エリン・ブロコビッチ」は記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。環境汚染問題をテーマにしたこの映画は、実話に基づいて作られたものでアメリカ国内を震撼させた驚愕の事件でもあります。
小さな弁護士事務所で雑用を行っていた主人公のエリンは、棚整理をしている最中に気になるファイルを見つけます。そのファイルを手がかりに何が起こっているのかを調べ始めたエリンは、アメリカの小さな街で原因不明の体調不良に悩まされ続けている住民たちと出会います。
そこで何が起こっているのかを追求していくうちに、巨大企業が環境汚染の事実を隠しているということを突き止めたエリン。エリンは勝てるはずもない巨大企業を相手に訴訟を起こし、見事勝利を勝ち取るというストーリーです。
一見すると訴訟問題ばかりがクローズアップされる映画ですが、環境汚染がどのように起こっているのか、それに対して人々が何を思っているのかがリアルに描かれた作品で、身近にも似たようなことが起こっているのではと思わせてくれる、考えさせられる映画です。
出典 http://www.nippon-animation.co.jp/na/conan/
「未来少年コナン」も環境問題を得意とする宮崎駿氏によって描かれた映画ですが、ナウシカとは違った観点で私たちに環境問題を大きく投げかけている作品です。
核兵器を遥かに上回る威力の超磁力兵器が使用された最終戦争から20年、主人公のコナンはのどかな島で平穏に暮らしていました。そこに科学都市の者たちから追われてきたラナと言う少女が現れます。
少女は唯一太陽エネルギーのシステム技術を持つラオ博士の孫娘で、行方不明のラオ博士とテレパシーが使える少女でした。
太陽エネルギーはエネルギー不足の科学都市には喉から手が出るほど欲しいもので、新たなエネルギーを元に最終兵器をもう一度復活させ、残ったわずかな人間と自然を支配して新たな理想郷を作ろうとする人たちと、自然と共存していこうとする少年少女のストーリーです。
ナウシカの世界観では戦後何千年後も変わらずその毒に侵され、日に日に腐敗していく大地に怯えた人々が自分たちを守ろうと兵器を使い自然の猛威を破壊していくというものですが、コナンでは機械文明に頼るばかりではなく自然とともに共存していくことが大事だというメッセージが込められています。
明確で分かりやすいストーリーですが、考えさせられることも多く環境と自然居着いて考え直す作品となっています。
出典 http://www.gizmodo.jp/2016/04/mad-max-fury-road-is-coming-to-netflix.html
2015年に公開され、そのエネルギッシュなアクションとストーリーで世界的に大ヒットとなった「マッドマックス 怒りのデスロード」。既に観たという方も少なくないのではないでしょうか。
舞台は核兵器による大量殺戮戦争の後、生活環境が汚染され、生存者たちは物資と資源を武力で奪い合い、文明社会が破滅してしまった世界。イモータン・ジョーをボスとした好戦的な集団が地下水と農作物栽培を支配し、多くの住民は環境汚染からの疾病や飢えに苦しんでいる独裁的な社会が築かれていました。
主人公の元警官、マックスは荒野へ訪れた際、暴徒の襲撃に遭い捕縛され、ジョーの元へと連れて行かれます。そして、ジョーの部隊を統率するフュリオサ大隊長がジョー一族によって監禁されていた5人の妻(ワイブス)を逃亡させる計画を実行し、マックスはそのワイブス追走の争いに巻き込まれることになるのです。
その圧倒的なビジュアル面、アクションシーンが話題となりましたが、ジョージミラー監督はマッドマックスシリーズで『近代文明が順調に進化を果たした華やかな世界という従来の「近未来」像を根底から覆す殺伐とした世界』を描写しています。もしこの世界が私たちの未来ならば、と想像することで人類の未来について考えさせられる映画です。
今回は「今もう一度見返したい環境映画たち」として4つの作品をご紹介させていただきましたが、いかがでしたか。
環境を題材にした映画はたくさんありますが、その多くが環境と何かを合わせて伝えるというものが多く、環境だけを取り上げた作品は意外と少ないものです。また環境を題材にした映画の多くがSFやアニメーションなどで作られていて、自然との共存、自然の猛威と戦うというようなことが題材にされているように感じます。
きっとそれはまだこの世界自体が、私たちが生きるために必要な文明の発達を理解している一方で、自然とどう向き合っていくのかという永遠のテーマの答えを見いだしていないからかもしれません。
今までは普通に見たことのある映画も環境問題だと思って今一度診てみると、違う角度で楽しめ、とても感慨深い作品だと思います。次世代を担う子どもたちにも、ぜひ見せてあげてください。
2016/09/04