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風力発電はコストパフォーマンスに優れた発電方法か?

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再生可能エネルギーの一つである風力発電は、風という自然界に存在する尽きないエネルギーを活用できることから、太陽光と同様に大変有望視されています。

 

ただし、風のエネルギーを電気エネルギーに変換するには発電設備を導入し、運用し続けることが必要です。そして、そのためのコストがかかることは避けられません。

 

それでは、それらのコストに見合う価値がどの程度風力発電から得られるのでしょうか?

 

今回は、風力発電のコストパフォーマンスについて確認してみたいと思います。

 

 

風力発電の設備・運用等のコスト

経済産業省・資源エネルギー庁主催の有識者会議である「発電コスト検証ワーキンググループ」の報告内容から確認してみます。

 

同ワーキンググループが公表した『長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告(平成27年5月)』によれば、風力発電(陸上)の2014年時点の発電コストは、21.6円/kWhとなっています。

 

発電コストには政策経費、運転維持費、資本費が含まれており、21.6円/kWhの内訳として以下のように報告されています。

 

政策経費 = IRR相当政策経費 + 予算関連政策経費 = 6.0円kWh

運転維持費 = 人件費 + 修繕費 + 諸費 + 業務分担費 = 3.4円kWh

資本費 = 建設費 + 固定資産税 + 廃棄費用 = 12.1円kWh

 

このうち、社会的経費とされる政策経費を除けば、風力発電の発電コストは15.6円/kWhとなります。
(上記データは、設備容量2万kW、設備利用率20%、稼働年数20年の陸上風力発電プラントを想定。)

 

なお、洋上風力発電については2020年時点でのコストが見積もられており、34.7円kWh(政策経費を除いて23.2円/kWh)と報告されています。

 

風力発電の部品であるタービンや電気設備等の量産効果が見込まれる設備費用については、今後減少するものであることを基本としてコスト算出されています。現在の日本の国内市場では、海外機の導入量が年々増加しており、市場の成熟に応じてタービンなどの価格が、国際価格に近づいていく可能性が高いです。ただし、日本国内のタービン価格は、海外と比べて依然として高い状況です。この価格を海外の価格と合わせて下げていかなければ、日本の風力発電の価格は下がっていかないかもしれません。

 

建設費用

日本の風力発電は、国際的な水準である22.2万円/kWに対して30万円/kWと大きな開きが見られます。これは、日本の建設費用が海外と比べて高いということを表しています。内訳を見ると、基礎、土地、道路、系統連携などは、他国と大きな差はなかったにもかかわらず、タービンや電気設備に大きさがあることがわかります。

 

今後、日本の風力発電における建設費用は減少して行くことが予想されています。その根源となっているのが、2020年までに風力発電の設備利用率を23%まで引き上げることを目標とした技術開発が、政府主導で進められていることです。設備利用率というのは、設置してからどの程度、設備が使用されているかの目安になるものです。風力発電の設備は、風がなければ風車が回らず電力の発電ができません。

 

これでは、設備を設置した意味がありません。政府は、設備の稼働率を上がるためにも、効率的な風力発電設備の開発を進めています。まずは、風車の大型化をすすめ、発電量をあげることが目標です。

 

アメリカでは、すでに大型化されていますが、設備利用率はここ10年間横ばいです。風力発電を設置する場所が少なくなっていることが原因です。

 

その他エネルギーとのコスト比較

それでは、その他の再生可能エネルギーのコストはどの程度でしょうか。

 

同ワーキンググループの報告によれば、2014年時点での各コストは以下のように公表されています。(比較を容易にするため、風力発電の場合も再掲します)

再生可能エネルギーの種類 コスト 政策経費を除いたコスト
住宅向け太陽光発電 29.4円/kWh 27.3円/kWh
非住宅向け太陽光発電 24.2円/kWh 21.0円/kWh
地熱発電 16.9円/kWh 10.9円/kwh
少水力発電 23.3円/kWh 20.4円/kWh
バイオマス発電(木質専焼) 29.7円/kWh 28.1円/kWh
風力発電(地上) 21.6円/kWh 15.6円/kWh

(ただし、地熱発電については予測範囲の値として公表されているため、地熱発電コストの現実の値は前後する可能性があります。)

 

以上の結果から、風力発電は、地熱発電を除けば他の発電方式よりはコストパフォーマンスが比較的優れていると言えます。
ただし、2014年時点での計算モデルにおいて、

・原子力(10.1円kWh:政策経費含)

・石炭火力(12.3円kWh:政策経費含)

・LNG火力(13.7円kWh:政策経費含)

といった既存の主要エネルギーの発電コストと比較すれば、再生可能エネルギー全体の発電コストは依然として高めだと言えます。

 

それでも、今後は風力発電等の設備普及とともに機器のコストは低下すると考えられており、経済性の面からも再生可能エネルギーの期待は高まりつつあると言えます。

 

風力発電のデメリット

風力発電は、コストパフォーマンスがよく自然にも優しいエネルギーですが、デメリットもあります。今後、再生エネルギーとして期待されているからこそ、デメリットも含めて押させておきましょう。

 

1. 風速によって発電量が影響される

再生可能エルギーは、自然の力を借りて発電する方法です。風力発電は、風の力を使い風車を回し電力を発電しますが、風が全くない日には発電ができません。発電量が日によって異なると、供給を受ける側としては困ります。これが、化石燃料から再生可能エネルギーに変えられない理由の一つでもあります。

 

2. 故障する可能性

太陽光発電や水力発電と比べて、落雷による故障のリスクがあります。大型になればなるほど、周りには何もない場所に建てられるため、なおさら危険性は高くなります。それに加え、鳥などが衝突し故障するケースもあります。

 

3. 風車から低周波や機械音が発生する

風力発電は、二酸化炭素などを排出することはありませんが、低周波や機械音を出します。人が好まない音であるため、騒音トラブルの原因となることがあります。そのため、建設する場所はとても大切です。海岸線近くで風が強く、なおかつ人が少ない場所に設置されています。

 

今後の再生可能エネルギーはどうなる?

2011年の東日本大震災を気に、原発に対する不安と再生可能エルギーへの注目度が高まりました。日本の原発をすべて止めて、現在ではほとんどの電力を火力発電に頼っている状況です。このような日本の電力事情において、再生可能エルギーは非常に大切なエネルギー源です。化石燃料と言われているLNGや石油は、いずれは枯渇してしまいます。これからは、永久的に使用できる再生可能エルギーの開発と導入を積極的に進めていかなければいけません。

 

風力発電は、その中でも重要な役割を担うことになります。再生可能エネルギーといえば、風力発電、太陽光発電、水力発電、地熱発電などがあげられますが、風力発電は他の発電方法に比べてコストパフォーマンが優れています。投資をしても回収しやすいとあれば、導入が今後進んでいくことが考えられます。政府も大規模な風力発電の開発を後押ししているのも、一つのポイントです。

 

ただ、風力発電だけではすべてカバーしきれないため、再生可能エネルギーを複数合わせて発電する方法が今後一般的になるかもしれません。水力発電はある程度安定的に発電ができるため、風力発電や太陽光発電が使えない日は、水力発電で発電し、その逆もありえます。それぞれ、莫大な設備投資がかかることがネックですが、今後世界中で導入が進むにつれて、費用も安くなるでしょう。

 

まとめ

今回は、経済産業省・資源エネルギー庁に設置された発電コスト検証ワーキンググループの公表資料を元に、再生可能エネルギーのコスト比較を行いました。

同ワーキンググループのデータによれば、風力発電は他の再生可能エネルギーよりもコストパフォーマンスに優れることが分かりました。

今後の発電コストについては、電気系統やタービン等の設備費用が国際的な価格水準に収まっていくと考えられており、コストパフォーマンスが向上する余地が残されています。

 

また、一般に、設備が市場に普及すれば機器のコストは低下していく傾向があるため、再生可能エネルギーを推進する日本において、風力発電の普及とともに関連設備コストも低下が期待できます。

 

化石燃料には限りがあり、資源のない国である日本は、再生可能エネルギーの開発と導入を進めていかなければいけません。今回は大規模な風力発電を前提に話を進めましたが、地域によっては、家庭用の小型風力発電も今後普及していくでしょう。そのためには、コストが下がり一般家庭でも手の届く料金になることが大前提です。

 

まだまだ、化石燃料に叶わない部分もありますが、徐々に実用化に近づいている技術も出てきています。今後の再生可能エネルギーの動向から目が離せません。

 

(参考)

発電コスト検証ワーキンググループ『長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告平成27年 5月』
http://www.enecho.meti.go.jp

 

2017/09/10

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