意外に古い?エレベーターの歴史はこうして始まった!
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どんなものにも「始まり」が存在します。私たちが毎日のように利用しているエレベーターにもそれは当てはまりますが、エレベーターには、いったいどんな歴史があるのでしょうか?
今回は、意外にも古くから存在した、エレベーターの歴史についてご紹介します。
エレベーターの生みの親はアルキメデス?
世界で一番最初のエレベーターとして知られているものは、古代ギリシャの数学者であり物理学者、数々の発明品を考案したアルキメデスが作ったものとされています。
紀元前236年、滑車とロープを使用して荷物を高いところに届けるために、人の力で引っ張ることによって駆動された道具が、世界のエレベーターの起源となりました。
古代ローマの皇帝ネロは、宮殿に3台ものエレベーターを設置していたと伝えられていますが、これもすべて人力で上げ下げされていたものです。
またその当時、ローマ市民の娯楽として人気だった、コロッセオでの剣闘士による試合や猛獣狩りでは、人力駆動のエレベーターが、猛獣たちをコロッセオに華々しく登場させるための舞台装置として使用されていました。
恋を運んだベルサイユ宮殿の「空飛ぶイス」
フランスのルイ15世は、ベルサイユ宮殿に「空飛ぶイス」と呼ばれたエレベーターを設置していました。
宮殿内の煙突の内側に、イスと錘をを吊るして作られた小さなエレベーターでしたが、もちろんこの当時も、人力で駆動させるエレベーターでした。
足が悪くなった寵妃であるポンパドゥール夫人のために作らせたものとされていますが、フランス国王ルイ15世が、どれだけこの女性のことを大切に思っていたのかを垣間見ることができるでしょう。
とうとう人力駆動ではないエレベーターが発明される
18世紀後半になったイギリスでは、蒸気機関の登場により産業革命に弾みが付きました。そんな中、1835年には、ついに人力で動かすエレベーターではないエレベーターが開発されたのです。
蒸気機関を動力としたエレベーターは、世界の人々を驚かせましたが、荒削りな技術だったため、エレベーターの安全性の面ではまだまだ改良が必要な状態でした。
現在のエレベーターの原型が登場
ようやく人力以外の力で動かすエレベーターが開発されたものの、その実用化までには、かなりの試行錯誤が必要でした。
当時のエレベーターは、エレベーターが動いている途中にロープが切れてしまったりするなど、とても人が安心して乗り込めるものではなかったのです。
しかし1852年には、アメリカの発明家であるエリシャ・グレーブス・オーチスが、エレベーターの安全装置を開発しエレベーターに取り付けます。
その後オーチスは、その安全装置の安全性を証明するために、ニューヨークで開かれた万国博覧会で、自ら乗り込んだ安全装置付きエレベーターのロープを切るという公開実演を行いました。
その落下防止の安全装置が付いたエレベーターは、ロープが切られた途端に数インチほど下がりましたが、安全性を証明することに見事に成功しました。
オーチスの発明は、エレベーターの普及に貢献することになり、オーチス自らもエレベーター会社を設立し、意欲的に安全装置付きのエレベーターの販売を始めました。
日本におけるエレベーターの歴史とは?
国内でのエレベーターの歴史は、1842年に水戸藩主・徳川斉昭が好文亭に設置した、つるべ式の運搬機によって始まりました。
その手動の運搬機は、主に食事を運ぶために利用されたそうですが、気性が激しく、礼儀作法に厳しかったと言われている、徳川斉昭公自らが設計したものとされています。
明治時代に入り、1890年には浅草に12階建ての凌雲閣という、当時にしては大層モダンな高層建築物が建築され、多くの観光客で賑わいました。
その凌雲閣の内部に、東京電燈株式会社の技師が設計した、日本初の電動式乗用エレベーターが設置されていました。
残念ながら関東大震災の影響で、凌雲閣と国内初の乗用エレベーターは歴史から姿を消しますが、その後、エレベーターは日本国内で広く普及していくことになります。
いかがでしたか?
エレベーターの歴史についてご紹介しましたが、思った以上にその歴史は深く、驚いた方もおられるかも知れません。
いつもはなにげなく利用しているエレベーターでも、その歴史に思いを馳せるなら、感慨深いものとして目に映るのではないでしょうか。