環境に配慮した中国の超高層ビル「上海中心」


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出典 http://sh.house.sina.com.cn/

中国では「上海中心」と書く上海タワー。120度ひねった形が特徴的です。2008年に着工し、2014年に完成した、新しい高層ビルの一つです。

ドバイのブルジュハリファ、東京のスカイツリーに次ぐ632mの超高層建築物です。

今回はそんな上海タワーをご紹介しましょう。

 

上海タワー着工までの経緯

高層ビルとしては、ドバイのブルジュハリファに次ぐ世界で2番目の高さを誇る上海タワー。120度ひねって聳え立つのが最大の特徴です。

設計の段階ではコンペティションを行うなど大きなプロジェクトのひとつとして始まりました。1次コンペティションの時点で、アメリカや自国中国の有名な建築会社が参加し、設計当初から話題となっていました。

2008年の3次コンペティションでは、アメリカとイギリスの建築会社の一騎打ち状態となり、結果、アメリカのゲンスラー社の設計が採用されることになりました。

着工予定のギリギリまでコンペティションが行われており、設計やこのビルの建築に、かなり力を入れていたことがわかりますね。

 

利用者1日あたり1万6000人以上、エレベーターは時速60km

2015年夏より一部使用を開始すると報道されたのが、2015年の6月です。専用のホームページも完成し、オフィスや商業フロアとして一部分の利用を開始しています。

オフィス、商業フロアだけで1日あたり1万6000人から1万8000人程度の利用を見込んでおり、中国のアイコンとしても認知されそうです。全長632mの128階建の中に、他にも住居可能な部屋などが設置されているといわれています。

そして、これだけの人の数をさばくエレベーターにも注目です。三菱電機の威信をかけて設置されたエレベーターは時速なんと60km。揺れや騒音にも配慮し、これだけのスピードでも快適に乗っていられるようです。

 

 

ビルからの絶景

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出典 http://dailynewsagency.com/2013/12/30/wei-gensheng-shanghai-tower-crane-y3x/

上海タワーの上部からは日の出や日の入りが幻想的に見えることがあります。それらの時間にあたるマジックアワーの上海の景色は、太陽の光とビル群の影が幻想的な空間を作り出しています。

また、上海タワーが高層であることから、天気が優れない日には雲を下に見ることもあるようです。雲から突出した高層ビルの先端など雲の間から見える上海の街並みは架空の世界にいるような気分になります。

画像は建設中のクレーン操縦士による撮影です。

 

環境にも配慮したタワー

2008年の着工当初から、環境への配慮も忘れていません。環境への負荷を軽減しエネルギーを削減する工法がとられ、建設されました。

 

ひねった構造はビルにかかる風圧を減らすことが計算されており、強化のための建設資材を減らすことに成功しています。また、ビルに当たった雨を集められる仕組みにもなっていて、集めた雨水を暖房や冷房に再利用するようです。

さらに、受けた風の力で風力発電もできるようになっているという斬新なアイディアには驚きです。
オフィスビルとあって暖房や冷房などが季節によって莫大に必要になりますが、上手く自然の力を利用しているようです。

超高層ビルという華やかなイメージの裏にはこのような配慮がなされている点は評価に値します。

 

今年運用を開始したばかりの新しいビルで、まだ情報も少なく認知度も決して高くはありませんが、今後中国の代名詞ともなりうる超高層ビルが完成したことには間違いありません。

周辺には、上海博物館や上海雑技団など観光名所もあるので、実際に街を歩いてから展望台に登るとより、観光に配慮した点や、最新の上海タワーのすごさがわかります。

今後の運用や、ビル内の様子などが気になるところです。