世界中からの観光客を近代的なデザインで出迎える「京都駅ビル」


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出典 http://www.syasin.biz/page/news10/

 

古都「京都」。

長い間日本の都であり、政治・文化の中心都市でした。

現在でもその歴史に裏打ちされた建造物が多く残っており、日本の国宝の約20%、重要文化財の約14%が京都市内にあるんです。

今や日本中だけではなく世界中から多くの観光客を集めています。

アメリカの有名な旅行雑誌「トラベル+レジャー」の読者投票による人気観光都市ランキングで、2014年と2015年の2年連続、第1位を記録しました。

加えて、2014年の観光客数は過去最大の約5,564万人となりました。

まさに日本が世界に誇る、貴重な観光資源の宝庫のような都市ですね。

その京都の玄関口として世界中の人々を迎えてきたのが、京都駅。

新幹線、JR在来線、近鉄、市営地下鉄の発着駅となっています。

1997年(平成9年)7月に4代目駅舎となる新・京都駅ビルが完成、9月に京都駅ビル全面開業となりました。

 

国際的なデザインで、古都・京都の印象をがらりと変える駅舎

京都駅ビルは地上16階(高さ60メートル)、地下3階 、東西の長さは470メートルにのぼり、JRの駅舎としては日本でも有数の規模です。

完成した当初は「あまりに近代的過ぎて、京都の雰囲気に合わない」などの賛否両論の意見がありましたが、徐々に新しい京都の顔として受け入れられつつあります。

駅舎のデザイン設計は、日本の駅舎としては異例の「国際指名コンペ方式」で行われ、審査の結果、原広司氏の案が採用されました。

京都には、景観を損なわないように建築物の高さ制限があります。

それに配慮し高さを最大で60メートルに抑え、周辺の景観に溶け込むようなデザインになるよう配慮がなされています。

京都駅ビルは大きく言うと、東側にホテルグランヴィア京都、西側に百貨店のジェイアール京都伊勢丹が位置しています。

その間の中央コンコースは、4000枚のガラスが使用された正面と、大きな屋根で覆う解放感溢れる吹き抜け(横幅147メートル、奥行29メートル、高さ50メートル)となっています。

初めて京都に来た観光客は、改札をおりたら、まずこの中央コンコースが目に飛び込んできます。

この近代的なデザインと開放感と雄大さに、京都という都市のイメージががらりと変わってしまいます。

「古都・京都」というイメージだったものが、「国際的な大都市・京都」へ。

京都駅そのものを写真に収めている外国人観光客も、多く見受けられます。

映画『ガメラ3 邪神覚醒』では、ガメラとイリスの闘いの舞台として、この中央コンコースの巨大な吹き抜け空間が登場しました。

 

大階段と屋上の「大空広場」は、カップルにとって居心地のいい空間

この巨大吹き抜けの最上部には、地上45メートルの空中径路が通っています。

吹き抜けから東西へは渓谷状の階段が設けられていて、「大階段」と呼ばれる伊勢丹側の巨大階段は段数171段、高低差は11階建てビルに相当する35メートル、全長は70メートルです。

大階段は音楽コンサートや、京都テレビが主催する毎年2月の「JR京都駅ビル大階段駆け上がり大会」など、様々なイベント会場としても利用されています。

また、非常時の避難経路となることも想定された機能性にも富んだ設計です。

しかし普段この階段では、カップルや観光客が思い思いに座り、巨大な吹き抜けを眺めながら憩いの時間を過ごしています。

大階段の最上段にあるのは、「大空広場」という空間です。

京都駅ビルの屋上に積極的に緑を植え、建物表面の温度を下げる、ヒートアイランド制御に力を入れています。

ベンチも設けられていて、気候の良い頃には絶好の休憩場所になっています。

夜になるとライトアップされ、京都市を一望できる夜景もすばらしいので、カップルでいっぱいになります。

 

京都駅ビルは「美術館・えきKYOTO」などの文化施設にも、かなりのスペースを割いています。

他の都市の大規模な駅ビルは、かなりの面積を企業の賃貸オフィスに割いていることが多いですが、京都駅ビルは賃貸オフィス部分がほとんどない、全国でもめずらしい駅ビルです。